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考え方・価値

AIを追いかけるほど、会社が忙しくなっていないか

新しいAIに乗り遅れたくない。その焦りは理解できます。学習や運用の負担も含めて、誰の仕事がどう楽になったか。企業が導入を判断するときに立ち返りたい問いを考えます。

Steven Wong

ネットを開くと、AIで仕事が大きく変わったという話が目に入ります。以前なら一年かかった仕事が一週間で終わった、といった発信もあります。どんな条件で、どこまでの仕事を指しているのかは分からなくても、その速さだけが印象に残ることがあります。

私が接する会社の経営者からも、今からAIを使わないと取り残されるのでは、という不安を感じる場面があります。効率を上げたい、人手不足を補いたい。その切実な目的に、乗り遅れたくないという焦りが重なっているように思います。

この気持ちは理解できます。変化が速いほど、何も始めていないことが心配になる。ただ、契約や導入によって得られる安心と、日々の仕事で負担が減ることは、それぞれ確かめたいものです。

学ぶ時間も、会社の仕事の一部になる

新しいツールを試し、使い方を覚え、社員に説明する。自分たちの業務に合うかを確かめ、困ったときの対応も考える。こうした準備を引き受けるのは、すでに日々の仕事を抱えている人たちです。

ようやく慣れた頃に別のツールが話題になれば、比較や学び直しが始まります。以前の仕事が減らないまま、この作業だけが積み重なると、AIについていくこと自体が会社の新しい負担になってしまいます。

学ぶことや試すことには価値があります。すぐに成果が出なくても、後の判断に役立つ経験は残ります。だからこそ、誰がどれだけ時間を使い、何を確かめるために試しているのかを、普段の業務と一緒に考えておきたいと思います。

自分たちの仕事に戻れる基準を持つ

導入の前に、誰の、どの負担を減らしたいのかを一つ言葉にしておく。

例えば、毎月の集計が担当者の負担になっているとします。AIで集計表を早く作れても、数字を照合し、修正し、使える状態にするまでの手間が増えていれば、負担が減ったとは判断できません。覚える時間や運用の手間も含めて、その仕事が終わるまでを見たいところです。

人手不足を補うことが目的なら、担当者が無理なく業務を回せるようになったか。面倒な作業を簡単にしたいなら、手順や確認の往復が減ったか。導入前に困っていたことを基準にすると、試した後に聞くべきことも具体的になります。

試す期間と、振り返るタイミングも決めておく。その間に別のAIが話題になっても、すぐに試す対象を増やさず、今の仕事で何が変わったかを確かめる。効果が小さければ、使い方を変える、範囲を狭める、いったん見送るという判断もできます。

他社の成果に刺激を受けながらも、自分たちが抱えている仕事には戻ってこられるようにしたい。次のツールが気になったとき、まず「いま困っているのは誰で、何が減れば助かるのか」を書き出してみる。その答えを持って試せれば、使い続ける理由も、見送る理由も説明しやすくなると思います。

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