AIを導入して、仕事は本当に早く終わるようになったか
資料を作る時間が短くなっても、読む・削る・選ぶ仕事が増えているかもしれません。AI導入の効果を、次の人への受け渡しから判断・完了まで含めて考えます。
Steven Wong資料づくりの時間が短くなるのは、うれしいことです。ただ、効率化を考えるとき、私はその資料を受け取る人の仕事まで見たいと思っています。
会議の記録をまとめる。文書を整理して、PDFやスライドにする。こうした作業をAIに任せて、早く形にできたとしても、その後には読む、確かめる、選ぶ、判断するという仕事が続きます。どこまで終われば、導入の目的を達成したと言えるのでしょうか。
作る時間が、選ぶ時間に移るとき
社内の提案が複数の人を通って上司に届く、仮の場面を考えてみます。
- 最初の担当者がAIで案を作り、不要な箇所を削って次の人へ渡す。
- 受け取った人がAIで要点を拾い直し、説明を足して別の資料にまとめる。
- 上司がその資料を読み、元の条件や事実を確かめて判断する。
それぞれは、AIを使って早く進めようとしています。でも、最初の人が削った説明を次の人が足し直していたら、同じ内容を何度も加工していることになります。最後に判断する人が、どの情報を信用してよいか原文まで戻るなら、そこでまた確認の時間が必要です。
案を作りやすくなると、比較する候補を増やすこともできます。以前は一案を考えていた時間で何案も出し、その違いを読み、不要な情報を取り除く。選択肢が増えることには意味がありますが、資料の数だけでは、仕事が早く終わったかは分かりません。
作成にかかっていた負担が、自分や次の人の確認・選別へ移っていないか。そこまで含めて見たいと思います。
最後に何が変われば、よくなったと言えるか
導入前に、改善したい仕事の終わりを決めておくと、見る範囲がはっきりします。提案書なら、下書きの完成までか、関係者の確認を経て方針を決めるまでか。目的が違えば、確かめる結果も変わります。
仕事を始めてから判断や完了に至るまでの時間と、関わる人が実際に手を動かした時間は、両方見ておきたいところです。自分の作業が短くなっても、次の人の読み直しが増えれば、チームの負担は見えにくいままです。
加えて、確認の往復や手戻りは減ったか。必要な条件を落とさずに判断できたか。出来上がったものの質はよくなったか。短いメモでも、作成、受け渡し、確認、判断の各段階で何をしたかを残せば、時間がどこへ移ったのかを話し合えます。
Lyqaで取り組みたいのも、次の判断へ進むための背景を取り戻すことです。読み取りを許可された会話や資料から、すでに決まったこと、その理由、まだ確認が必要なことを、出典とともにたどれるようにする。事情を知る人に聞き直し、同じ経緯を説明する往復を減らすことを目指しています。現在は初期パイロットの準備段階で、実際の仕事での効果を確かめていく必要があります。
AIを導入して、最後に何をよくしたいのか。出来上がった資料の先で、人がどんな判断をして、どこまで仕事を進められたか。その結果まで含めて、導入の意味を考えたいと思っています。