AIを渡したあと、仕事の進め方も整える
AIで作る速さが変わっても、背景を探す負担や承認の条件が曖昧なままでは、担当者は進めにくい。使える材料、合格の基準、判断と修正の責任をそろえることから考えます。
Steven WongAIを導入したのに、担当者が以前のやり方に戻ってしまう。そんなとき、使う側の意欲に理由を求める前に、任せた仕事の条件を見直したいと思っています。
自分で最終判断できる経営者なら、出力を直して、そのまま使う判断もできます。一方、承認を受ける担当者には、出したものが通るかという問題があります。差し戻しのたびに、以前の進め方と違う理由まで説明する必要があるなら、慣れた方法を選ぶのは合理的です。
下書きが速くできても、その先で止まる
例えば、運用担当者がAIで広告文を作る場面を考えてみます。以下は説明のための仮の例です。
ブランドの方針は複数の資料に分かれ、前回なぜ表現を変えたかはチャットの中。レビュー担当者が気にする点にも、まだ言葉にされていないものがあります。ツールの操作を覚えても、これだけでは、何を材料にして、どこまで仕上げればよいかを判断しにくい。
文章はすぐにできます。でも提出すると、過去の方針と合わないと言われ、事情を知る人に聞き、直して出し直す。この往復が続けば、担当者が通し方を知っている旧来の手順へ戻るのも理解できます。AIで生成する時間だけが短くなっても、背景の確認や承認を得る仕事は残っています。
担当者が判断できる条件を共有する
私なら、使い続けるよう促す前に、次の三つをレビューする人と担当者でそろえます。
| 共有したいもの | 具体的に確かめること |
|---|---|
| 使える材料と背景 | 現在の方針、過去の修正理由、参照先 |
| 合格と判断する基準 | 必須の要素、避けたい表現、確認の順序 |
| 判断と修正の責任 | 誰が承認し、問題があれば誰が対応するか |
合格した例があれば、どこがよかったかも残す。差し戻すときは、今回初めて決めた条件か、以前からある条件かを伝える。担当者が知りようのなかった基準まで、個人の注意不足として扱わないことも大切だと思います。
こうした前提があれば、AIの出力をどこで直し、何を人に確認すべきかを相談しやすくなります。試した人だけに、手戻りと説明の負担を集めずに済む進め方を考えたいところです。
記録された背景を、次の判断につなぐ
Lyqaでは、利用を許可された仕事の会話や資料から、記録に残った経緯や判断理由、いま確認すべき事項を、出典とともにたどれるようにすることに取り組んでいます。事情を知る人への確認待ちや、同じ背景を説明する往復を減らし、次の判断へ進みやすくするためです。
記録されていない基準や、合意されていない責任分担を、AIがチームの代わりに決めることはできません。 過去の理由を取り戻すことと、今回の方針を決めることは、分けて扱う必要があります。
Lyqaは現在、初期パイロットの準備段階です。参加に関心のある方は、先行案内をご覧ください。使う回数だけを追うより、担当者が判断に必要な材料を持ち、仕事を先へ進められるかを一緒に確かめたいと思っています。