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考え方・価値

「説明したはず」が伝わらないときに、確かめたい前提

説明する側には当たり前の背景も、新しく加わった人には見えていないことがあります。方針を選んだ理由や条件を、毎回の説明だけに頼らず共有する方法を考えます。

Steven Wong

「もう説明したはずなのに、どうして伝わらないんだろう」

誰かに仕事を教えたり、チームへ方針を伝えたりする中で、こう感じることがあります。同じことを繰り返し聞かれると、説明した側も疲れます。聞く側にも、どこが分からないのかをうまく言葉にできず、質問をためらうことがあるかもしれません。

そんなとき、私はまず、説明の中で省略した背景を確かめたいと思っています。話す人には、過去の議論、顧客の要望、選ばなかった案まで頭に入っている。その前提が自然すぎて、言葉にする必要を感じていないことがあります。

「前回の方針どおり」に含まれていること

例えば、途中から加わったメンバーに、次のように伝えたとします。

今回も、前回の方針どおりに進めてください。

話す側は、顧客がまず納期を優先していること、既存システムの変更は次の段階で検討すると決めたことを知っています。だから、今回も同じ範囲で進めるのが自然に思えます。

ところが、相手が知っているのは採用された案だけかもしれません。なぜその案を選んだのかが分からなければ、別の方法のほうがよいと考えたり、どこまで変更してよいかで迷ったりします。

ここで同じ結論をもう一度伝えても、抜けている理由は届きません。相手の理解力を判断する前に、その判断に必要だった経緯を共有できているか、見直す余地があります。

背景を、説明する人の記憶だけに置かない

もちろん、毎回すべての経緯を最初から話すには時間も気力も必要です。相手が知っている範囲も一人ひとり違います。忙しい中で説明を省いたことを、相手に伝える意思がないと決めつけるのも違うと思います。

そこで、仕事の途中に残した会話や資料を、背景を確かめるための共通の材料にできないかと考えています。決めた方針から、その理由や当時の条件へたどれれば、新しく加わった人も、必要なところを補いながら読めます。

Lyqaで取り組んでいるのは、接続され、読み取りを許可された記録から、こうした背景と経緯を整理することです。閲覧権限のある元の会話や資料へ戻り、判断の理由を確かめられる状態を目指しています。現在は初期パイロットの準備段階です。

頭の中だけにある意図や、記録されていない合意は、人に確認する必要があります。直前の変更がまだ反映されていない場合もあります。背景を読めたことで、今回も同じ判断をしてよいと自動的に決まるわけではありません。

先ほどの依頼なら、こんな一言と参照先を添えられます。

今回は納期を優先するので、既存システムは変えない方針です。前回の検討メモを共有します。今回の条件と違う点があれば、そこを相談してください。

これなら、何を確かめ、どこから相談すればよいかが見えます。説明する側は、毎回すべてを語り直す負担を減らせるかもしれません。聞く側も、知っている人を待つだけでなく、記録から前提を補えます。

次に「説明したはず」と感じたら、相手に渡した言葉の中に、自分だけが知っている理由が隠れていないかを確かめたい。その背景へ一緒に戻れることが、伝わる説明の助けになると思っています。

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